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核融合|活性炭関連
“ダイバータ”において不要となったガスはクライオ吸着ポンプによって核融合炉外へ排出されます。吸着ポンプ部材では優れたガス吸着性能を持つ”活性炭”が担っており、当社では吸着性・排気性に優れた活性炭の開発を行っています。
核融合炉向けクライオポンプ用活性炭(当社の粉末焼結技術を活用)
概要
核融合炉内の内部にはプラズマにならなかった余分な⽔素ガスを速やかに取り除くダイバータと呼ばれる排出機構があり、その排気ポンプとして使われるのが“クライオポンプ”です。
クライオポンプの中には、無数の細かい孔を持つ活性炭が張り付いた吸着パネルが内蔵されています。
活性炭をマイナス250℃以下に冷やすと、ポンプ機能を発揮するようになります。
課題
吸着パネルに⽤いられる活性炭には、以下の問題点や改善要望がありました。
- 形状的な制約がある(ペレット型、粉体、シート等に限られる)
- 熱伝導性が悪い(ペレットでは有機物等のバインダーを含むため)
- 強度が低い(吸着パネルからの脱落・剥離等)
取組み
SPS法(※-1)を⽤いることで以下のような開発材の作製に成功しました。(関連特許取得済み)
- 板状やブロック状の固形体(多孔質体)が作製可能
- 固形化しても、原料粉体が元来有する細孔特性を損ねない
- バインダレスでの焼結が可能(活性炭100%)
- ⾼い熱伝導性(バインダレスのため)
- ⾼い強度(吸着パネルとしての要求強度を満たす)
- 気孔率の調整が可能(焼結条件や使⽤粉体の最適化)
このような新しい製造⼿法を⽤いることで、様々な特性の改善を⾒出すことができました。
今後
⼤学共同利⽤機関法⼈ ⾃然科学研究機構 核融合科学研究所様において、クライオポンプとしての特性を把握するため評価を実施しております。
また、更なる付加価値を⾒出すべく、第⼆成分の添加等によるハイブリッド化も視野に⼊れ、研究・開発を進める予定です。
さらに本件開発技術を活⽤し、クライオポンプに限定せず、様々な⽤途の活性炭製品群に挑戦して参ります。
固形化した活性炭(バインダレス)
補⾜
- SPSとは、Spark Plusma Sintering(放電プラズマ焼結)
固体間に低電圧で⼤電流を投⼊することで、固体間に⽣じる「⽕花放電現象」を駆動⼒とした焼結⽅法 - バインダーとは、粉体同⼠を接着・接合させ保形性を持たせるための樹脂成分